当事者の主体性の喪失と回復
物事に取り組む際に、当事者の主体性ってとても重要だと思います。
そこについての論文を読んで、思うところがあったので、メモ。
●アクションリサーチの主体形成について(宮本,2015)
http://www.kwansei.ac.jp/s_hws/attached/0000091908.pdf
・アクションリサーチにおける当事者の主体性の喪失と回復の問題について記載された論文。
終盤のまとめ部分を読んでいて、これは他分野においても応用可能な面があるなと感じた。
以下、論文からの抜き出しメモ。
・「めざす」かかわりが頓挫するのは、端的に言って、「よりよい状態をめざす」ことが暗黙の内に現在を否定しているから。
・現在が十分でないからよりよい未来がめざされる。そのとき、その対象が、そもそも現在の自分自身を否定的にみることで無力感を抱いているのだとしたら、「めざす」かかわりはその無力感を強めるように働いてしまう。
・この閉塞感を突破するためには、「変わらなくてよい」という「すごす」かかわり。
・ここで注意しなければならないことは、「すごす」かかわりは問題含みの現状を肯定しているのではないこと。
・「すごす」かかわりが肯定しようとしているのは、当事者自身が気づいていなかった自らに備わる潜在的な力のこと。
・「すごす」かかわりによって、力を取り戻した当事者は、初めてそこで「よりよい状態」をめざすことができるようになる。
以上の内容は、育児(子育て)や教育にも当てはまるところが多いと。
難しいのは、「すごす」かかわりが問題を含んでいる現状を肯定しているわけではない、というところ。
でも、この過程を経ないと当事者の自身に備わる能力の気づきにつながらないんだというところ。
つまり、喪失した(ようにみえる)主体性の回復に、どう寄り添えるか、支援できるかってところがチョー重要なんだと思う。