吉野家にて
昔を思い出したので。
大学時代、家庭教師のアルバイトをしていました。
ある家庭にレギュラーで某国立大学の家庭教師が担当していたところに、僕が代打的な役割で2ヶ月ほどお邪魔していたことがありました。
その家庭では夏だったせいですかね、いつも教え子のお母さんが薄着でいたんですよ。
少し目のやり場に困るくらいに。
で、やたらと晩御飯を食べていけとか、「旦那が出張中で」とか、僕が家庭教師の仕事を遂行する上で不要な情報がたくさん示されていたわけです。当時ウブだった(いまも純真ですが)僕はまったく何の疑いもサインの認識をしませんでしたが、
そして、当初示された代打期間が終わろうとする日、生徒のお母さんから「レギュラーの先生に代わってあなたがレギュラーで来てもらえないか?」とお願いをされました。
その後は詳しくは覚えてませんが、その生徒があまりにヤル気がなくて、教えるのも苦労していたので、謹んで辞退させていただくこととしました。
あのとき、引き受けていたら、もしかしたらもしかして、、、
という話がしたかったのではないんですが。
それはそれとして、置いておいて。
さて、当時の僕は一人暮らしで、自炊するのも面倒で、ほとんど外食していました。
特に家庭教師のアルバイトの日は吉野家で牛丼を食べることがルーチンでしたね。
だいたい週に2-3回やってましたが、ほぼそのときは吉野家。
毎週同じ時間に行くんですね、吉野家に。
すると、吉野家に限らないと思いますが、バイトのシフトも週ごとにほぼ同じになると思うんですよ。
実際、僕が通っていた吉野家は、毎回同じ女性が僕の注文をとっていました。
その女性に、僕は毎回決まってこう言うんです。
「並、つゆだくで」
これを毎回繰り返しますと、女性店員も僕のことを見て
「あ、並つゆだくキモメガネが来たぞ」と心の中で思っていたに違いありません。
僕は毎回「並つゆだくで」って注文してるんですけど、女性店員は慣れてきたのかほとんど聞かなくなるんですよね。
聞いてるんだけど、顔がまったく注文を聞いてる顔じゃないの。
心の中で「はいはい、アレね」って顔してるの。
もうね、着席した僕の顔をみたら心の中で「並つゆだく」を厨房にオーダーすると決め打ちしてる顔してましたもん。
しばらくしたら、僕の注文「並つゆ、、」くらいで、食いぎみに「並つゆだく一丁です!」って厨房にオーダー通してましたしね。
そんなある日。
いつも同じ注文で、習慣やペースを変えたくない僕にしては珍しく、
「牛鮭定食たべたいな〜」
って気分になったんですよ。
そして、いつもの吉野家にいつもの時間にいって、いつもの席に座ったところで、いつもの女性店員が注文を聞きにきました。
女性店員「ご注文は?」
僕「牛鮭定食おねがいします」
そのとき、女性店員がフリーズしました。
体感時間にして3秒くらいですが。
人間がフリーズした瞬間をみました。
僕は驚きのあまりそのときの女性店員の顔が忘れられません。
本当にこんな顔してました。
あの女性店員は、いまどこでなにをしているんだろう。
まあ、まったく気になりませんけどね(笑)